俳優の中村雅俊と
作家の辺見庸
東日本大震災から丸12年がたつ。太平洋に面する宮城県石巻市は街中が津波に襲われ、甚大な被害をこうむった。だが、創立100周年の県立石巻高校は災害にめげず、自由で明るい校風を堅持している。
個性と才能を発揮した卒業生3人を、まず紹介しよう。
俳優・歌手の中村雅俊(1951年2月生まれ)が知名度抜群だ。慶応大3年の時に文学座附属演劇研究所に入所し、大学卒業時に文学座に入団した。青春ドラマや映画出演、さらに『ふれあい』などヒット曲にも恵まれ、本人が驚くほどとんとん拍子にスターの座を駆け上った。
連続ドラマ34本を含め、テレビ・映画での主演作品は100本以上に上る。歌手としてもコンスタントに曲を発表し、シングル55枚、アルバム41枚をリリースしている。70歳を超えているが、外見は青春時代とそう変わらない。
中村は、宮城県女川町から石巻高に通学した。津波で街は壊滅し、800人を超える町民が亡くなった町だ。海岸から200mほどの街中にあった中村の実家も津波にのみ込まれた。いとこら3人の命が奪われた。