最後の質問です。

「具体的には、どの部分を使うと思うの?」

 すると、答えは……

「何かを仮定して、ものごとを考えること」

 ならば、すでに学生を卒業しビジネスで活躍するあなたは、後者でこの問題を説明しなさいよ、と私は話をします。

 私たちは「ツルカメ算」という言葉は知っています。何かを仮定して、ものごとを考えることが大切だとどこかで耳にしたことはあります。さまざまなビジネス書で書かれていることです。しかし、いざそれが使える場面に直面したとき、まったく使えていないのです。
 少し厳しい言い方になるかもしれませんが、これが仕事で数学を使うとはどういうことかを知らないビジネスパーソンの典型的な例なのです。

 この話を整理しましょう。

■方程式=作業
■ツルカメ算=思考

 ビジネスで「使える」のは思考。だから、仕事に使える数学は、ツルカメ算。

「誤差」や「矛盾」を許す

 今回のテーマには、実はもう1つポイントがあります。
 それは、「誤差」や「矛盾」に対するネガティブイメージです。

 私たちは、誤差や矛盾を無意識に恐れていないでしょうか。国民性もあるのでしょうか。ピッタリ、順序よく、丁寧に……、そんな概念がよいとされます。
 もちろん、それは大切なことです。しかし、ものごとを前に進めるためにはマイナスに作用することも実は多いのです。冒頭の恋愛の話は正解がなかったとしても、ビジネスにおいては、少々強引な「Bさん」の考え方が正解になります。

 実際、少々強引なくらいでないと、仕事なんて前には進めないものではないでしょうか。これはきっとビジネスシーンで日々闘っている皆さんなら、納得いただけるものと思います。