ニューヨーク証券取引所Photo:PIXTA

米国の強い景気とインフレを受けて
米利上げの長期化観測が高まる

 米利上げの長期化観測が高まっている。2月3日の米1月雇用統計が発表される前まで、市場は、利上げ終了後の政策金利の水準(いわゆる「政策金利の天井」)を4.9%程度と想定し、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが終わる可能性を織り込んでいた。しかし、今の市場は、想定する政策金利の天井を5.4%台まで引き上げて、3月以降も、5月、6月のFOMCまで利上げが続くことを織り込んでいる。

 12月FOMCの米政策金利見通しによれば、2023年末の政策金利の中央値は5.125%であり、利下げは見込まれていない。市場とFOMCの政策金利の天井予想を比べれば、市場はFOMCよりもタカ派的に変わった。

 米利上げの長期化観測が高まったのは、2月に発表された経済指標が強かったためである。1月の非農業部門雇用者数は、前月比+51.7万人と米労働市場の強さを示した。また、1月の米CPIコアも前月比+0.4%と高めの伸びとなり、インフレ圧力が根強いことを示唆した。

 今年の米国株(S&P500種株価指数)は、昨年10月の安値から終値ベースで一時16%も上昇した。米国株式市場では、米国での利上げが続いても、経済成長が持続するシナリオ(ノーランディング)も浮上している。米国景気のシナリオは、米利上げ開始時に想定されていた景気の軟着陸(ソフトランディング)か景気悪化(ハードランディング)だけではなくなった。

 米国景気に対する見方が3つに割れているが、筆者はいずれにしても米国株が上昇する道は険しいと予想している。まずは、過去の米長短金利と米国株の関係を整理してみよう。