今、日本では空前のサウナブームが起きています。
芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。

【医者が教える!】「日本人は特にサウナに入るべき!」理由とは?Photo: Adobe Stock

日本人の3人に1人は高血圧!

働き盛りのビジネスパーソンの間では、「いやぁ、最近血圧が高くて」というような会話が交わされることもあるかもしれません。
実際、日本の高血圧患者は4300万人いると推定されており、日本人の3人に1人が高血圧という状況です。「周りはみんな高血圧」だからと言って、安心してはいけません。高血圧は、脳卒中や心疾患などを引き起こす最大のリスクファクターです。

日本人に高血圧が多い理由の一つに、塩分の過剰摂取があります。
現在、日本人の食塩の目標摂取量は、男性8.0グラム、女性7.0グラム未満に定められています。ところが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、2017年の日本人の食塩摂取量(食塩相当量)は、男性10.8グラム、女性9.1グラムと、男女ともに上回っています。毎日の味噌汁をはじめ、飲み会で出される塩辛いおつまみ、締めのラーメンなど、ビジネスパーソンの大好物は、たいがい塩分が多いことが影響しているかもしれません。

塩分を過剰に摂ると、血管がパンパンになり血圧が上がる

そもそも、なぜ塩分をたくさん摂ると高血圧になるのかという理由を、簡単に説明します。
塩分を摂りすぎると、血液の中に塩分がたくさん含まれることになります。すると、塩には水を引っ張る性質があるため、周辺の細胞の中から水を引っ張ってきて、血液の量が増えます。これは、血管というホースの中に水がパンパンに入っているようなものです。だから、血管の内側にかかる圧が高まり、高血圧になります。
しかしサウナに入ると、汗を大量にかくことで塩分と水分が排出されるうえ、血管も拡張します。つまり、高血圧になる要因を排除することができるのです。

日本は、銭湯文化によってサウナのインフラが整備されているサウナ大国です。厚労省によると、2016年における日本の公衆浴場は2万5000軒ほどであり、そのうち、正確な数はわかりませんが、1万軒ほどはサウナを併設していると推察されます。いつでもどこでも、安価にサウナを利用できる環境は、世界に誇る財産です。この環境は、食塩過剰、高血圧といわれる日本人にとって、非常にメリットがあると言えるでしょう。

*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。