今、日本では空前のサウナブームが起きています。
芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。
認知症になるリスクが66%減!?
□名刺交換をした人の名前が出てこない
□席を立って歩き始めたら、何をするつもりだったかわからなくなる
□以前はスケジュールを頭で管理できたのに、最近は手帳に書かないと忘れてしまう
□簡単な計算に時間がかかる
□漢字を思い出せない
年々こういうことが増えて、「もしかして認知症かな」と、怖くなったことがあるかもしれません。
しかし、サウナを習慣にすれば、そんな不安も払拭できます。サウナには、認知症を予防する効果もあるからです。
東フィンランド大学が、フィンランドの東部に住む男性(42~60歳)2315人を対象に、サウナの入浴頻度と認知症発症リスクの関連性を調べたところ、驚くべき結果が得られたそうです。
それは、ほとんど毎日サウナに入る人は、週1回以下しかサウナに入らない人に比べて、軽度の認知障害になるリスクが66%も低かったというもの。
本書のP120で紹介したメイヨー・クリニックの報告にもあった通りです。
認知症やアルツハイマー病の原因物質が洗い流される?
なぜこのような効果があるのか、詳細なメカニズムはまだ明らかになっていませんが、私は、脳の血流が関係しているのではないかと思っています。
脳はとても大事なので、細菌やウィルスなどの異物が侵入しないように、脳血管の壁は隙間なく頑丈に作られています。しかし、その分、物質交換が起こりにくく、認知症やアルツハイマー病の原因となる不要な物質が溜まりやすくなります。しかし、サウナに入ることで水分をはじめとする物質の交換が促進され、不要なものが洗い流されます。これが、認知症予防に一役買っているのではないかという考えです。
もう一つのメカニズムと考えられるのが、睡眠改善によるものです。サウナに入ると、睡眠の質がよくなると述べましたが、細かく言うと、ノンレム睡眠の中の深い睡眠の割合が増えます。世界で最も権威のある科学誌である「サイエンス」誌に2013年と2019年に掲載された報告によると、ノンレム睡眠時には、脳が全領域同期して休息し、その間に脳脊髄液がさざ波のようにおしよせて脳をクリーニングすることが報告されました。
認知症の原因となる、脳内で不要となった老廃物も洗い流されるということです。
*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。