今、人気の「自力整体」。人の手を借りずに、「整体施術のプロの技法」を自分におこなえるメソッドだ。痛みや不調を解決するワークを紹介した『すごい自力整体』は、大きな反響を呼んでいる。今回、出版を記念して著者の矢上真理恵さんと対談してくださったのは、「自力整体」の生みの親・矢上裕さん。矢上真理恵さんのお父様でもある矢上裕さんは35年前、鍼灸師・整体治療家として治療しながら、効果の高い施術を自分におこなえるように改良し「自力整体」を完成。著書は25冊を超える。今回『すごい自力整体』の監修者として参加。対談の第10話は、「整体プロに聞く健康長寿の秘訣」、です(構成/依田則子、写真/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
健康寿命を延ばす3つの習慣
――「自力整体」は現在約1万5000名が実践され、とくに矢上裕先生のクラスはご高齢の方も多いそうですね。ところで整体治療家の視点から、健康長寿に必要なことを教えていただけますか?
矢上裕(以下「裕」):これは私が100歳まで生きたときに答えましょう(笑)。というのは冗談ですが、実際100歳まで生きてみないとわからないということを前提にお話しますね。
――ぜひお願いします。
矢上裕(以下「裕」):私が健康寿命を延ばすために気をつけていることは3つあります。
1,脱水予防
2,長い呼吸
3,入浴
1つ目は、脱水を予防すること。たくさん水を飲むということではなく、水分の吸収力を高めることが大事なんですね。
すぐおしっこしたくなる人は、細胞に水が吸収されずに膀胱に流れてしまうからトイレが近い。水をたくさん飲んでも脱水状態です。細胞はどんどん水分を失い枯れてしまいます。
健康長寿のためにも、きちんと水を得られる体にしておくことが大切です。そのためにも、「自力整体」で血行を促し体温を上げて、代謝をアップしてみてください。
また、水はガブガブ飲むのではなく、炭水化物と一緒に飲むと吸収しやすいですよ。とくに「おかゆ」にすると吸収がいい。
2つ目は、長い呼吸をすること。これは私が一番気をつけていることです。
人間は肺から老いるといいます。お坊さんは毎日読経をして長い呼吸を習慣にしているから長生きの方が多いですね。ですから「自力整体」をおこなうときは長い深呼吸を何度もおこないます。
ほかにもカラオケで歌ったり、人前で大きな声で話したり、おしゃべりする習慣もいいですね。つまり長い呼吸をおこなえる習慣を身につけるとよいと思います。
3つ目は、入浴です。シャワーだけではなく、湯船にじっくりつかる入浴です。
入浴すると毛穴から水が吸収されて、脱水の予防になるんですね。できれば汗をかいて毛穴が開いてからの入浴がおすすめです。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗