焼肉もヴィーガンフードも大好きな
Z世代の真意とは
Z世代の若者に話を聞くと、その理由は至ってシンプルでした。彼・彼女らは本当にヴィーガンに転向したわけでも、その思想に引かれているわけでもありません。
「何となく痩せそう」「野菜がたくさん食べられる」などの至ってシンプルな理由で専門店に行き、そのときだけヴィーガン食品を食べていたのです。
正直なところ、ヴィーガン食品にはカロリーが高いものも含まれます。特に大豆ミートは意外と高カロリーで、本物の肉に置き換えてもダイエット効果が高いとは言い切れません。
それでも「植物性だからヘルシーで、太らないだろう」と考え、ヴィーガン専門店を訪れているようです。
来店の動機はあくまで「ダイエット目的」であり、動物のためではなく自分のための消費行動だといえます。こうした風潮は、欧米のヴィーガン文化とは正反対です。
若者がヴィーガン専門店に集う理由はそれだけではありません。冒頭で述べた「カルーアミルク専門店」「梅酒カクテル専門店」などにも当てはまりますが、どうやら若者たちは、専門店に通うことで「この人は“通”なんだな」と周囲に認識されたいようなのです。
「自分はお店選びのセンスがいい」と直接的に自慢するのではなく、SNSに店内の写真をアップし、やんわりと匂わせることで自己ブランディングを図っているわけですね。
まだ若いので、そうした飲み食いに使えるお金には限りがありますが、各専門店は価格帯も高くありません。周りと差別化する上で効果的な手法になり得ます。
専門店を手掛ける企業側の視点では、単にニッチな商品を売るだけではなく、若者心理を巧みに捉えるマーケティングに成功したからこそ、集客に成功したのだといえます。
「アソビバー」の台頭で感じた
「リスク管理」重視の恋愛観
「若者が集まる飲食店」という観点で、筆者が特に面白いと感じたお店はもう一つあります。関西を中心に展開する「ASOBIBAR(アソビバー)」というバーは要注目です。
22年12月に東京進出を果たしたこのバーは、ダーツやビリヤードなども楽しめますが、いわゆる相席屋のような“出会いの場”としての側面もあります。年間の来店者数は30万人以上だといいます。