新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキリンホールディングス、アサヒグループホールディングス、サッポロホールディングスの「ビール」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
ビール3社とも増収も
通期の利益面は明暗
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のビール業界3社。対象期間は2022年8~12月期の直近四半期(3社とも22年10〜12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・キリンホールディングス
増収率:7.5%(四半期の売上収益5323億円)
・アサヒグループホールディングス
増収率:7.4%(四半期の売上収益6612億円)
・サッポロホールディングス
増収率:3.5%(四半期の売上収益1326億円)
ビール業界3社の四半期増収率(前年同期比)は、いずれもプラスで、キリンホールディングスとアサヒグループホールディングスは共に7%台の増収率だった。ただ通期の利益面を見ると、唯一キリンホールディングスが好調といえそうだ。
各社の増収の理由と、利益面で分かれた明暗を次ページ以降で詳しく解説する。