新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大成建設、鹿島などの「ゼネコン」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
ゼネコン4社はそろって増収も
1社だけが営業減益
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゼネコン業界4社。対象期間は2022年8~12月の四半期(4社いずれも22年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・大成建設
増収率:2.2%(四半期の売上高3860億円)
・鹿島
増収率:16.9%(四半期の売上高6157億円)
・大林組
増収率:8.3%(四半期の売上高5167億円)
・清水建設
増収率:38.1%(四半期の売上高4941億円)
ゼネコン業界の主要4社は、いずれも増収だった。中でも、清水建設は約4割の大幅増収だ。
第3四半期累計の決算でも、各社の売上高は前年同期実績を上回っている。
だが、各社は必ずしも順風満帆とは言えない状況だ。ゼネコン業界では依然として資材価格の高騰が続き、企業の原価負担が増大している。
建設会社の業界団体「日本建設業連合会」によると、21年1月~23年2月の約2年間で、資材の「ステンレス鋼板」は84%、「鋼板(中厚板)」と「コンクリート型枠用合板」は81%、それぞれ値上がりしたという。
それでも、今回分析対象とした4社のうち3社は、増収効果などによって第3四半期累計で営業増益を達成した。その一方で、残る1社だけが営業減益に沈んだ。
「独り負け」の営業減益となった企業はどこだったのか。次ページでは、各社の増収率の推移と、利益面の現状について詳しく解説する。