新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は花王、資生堂、ユニ・チャームの「生活用品」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
資生堂の営業利益が「半減」
花王も20%の減益に
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生活用品業界3社。対象期間は2022年8~12月の直近四半期としている(3社とも22年10~12月期)。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・花王
増収率:6.4%(四半期の売上高4233億円)
・資生堂
増収率:8.2%(四半期の売上高3046億円)
・ユニ・チャーム
増収率:15.5%(四半期の売上高2435億円)
生活用品3社は、いずれも前年同期比で増収となった。
2022年12月期の通期決算でも3社はそろって増収を達成し、ユニ・チャームは過去最高の通期売上高を記録した。
だが、通期決算の利益面に目を向けると、各社は一転して厳しい状況に置かれていることが分かる。
花王は営業利益が前期比23.3%減、最終利益が同21.5%減となり、両指標ともに増益を見込んでいた通期業績予想を大きく下回った。
この状況を踏まえ、花王の長谷部佳宏社長は「連結業績と業績予想との差異を真摯(しんし)に受け止め、その経営責任を明確にする」とし、23年4月から3カ月間にわたって役員報酬の一部を自主返納すると発表した。
また、資生堂の通期決算では同社独自の指標である「コア営業利益」(営業利益から構造改革費用などを除いたもの)こそ前期比20.6%の増益となったが、営業利益そのものは同53.7%減と大幅減益に陥った。最終利益も同27.1%の減益に沈んだ。
この2社よりも減益幅は小さいものの、ユニ・チャームの通期決算も「コア営業利益」(売上総利益から販売費及び一般管理費を除いたもの)は前期比2.4%減、最終利益も同7.1%減という結果だった。
3社がそろって減益に陥った要因と、利益面の現状とは――。また、23年12月期の業績予想でも、利益面で過去最高益を見込む企業もあれば、さらなる減益予想を強いられている企業もある。次ページで、各社の増収率の推移と併せて詳しく解説する。