ここ30年間、日本人の給料はほとんど上がっていない。しかし物価もほとんど上がらなかったから、我々は呑気に過ごすことができた。茹でガエル状態というやつだろうか。
ところが2022年からインフレの波が止まらない。食費も燃料費も信じられないくらいどんどん上がっていく。
このままでは日本人は飢え死にしてしまうのか? いや、こんな時代でもお金を稼ぐ方法はあるはずだ。話題の書『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』南 祐貴(セカニチ)から、不遇の時代をたくましく生き抜く知恵を学びたい。

年収が決まる要素は「どこ」にいるか。「給料=あなたの能力」ではないイラスト/ゆん

年収が決まる要素は、「どこ」にいるか

 生活費が上がる=悲しいこと、と思いがちだが、ここには1つの抜け道がある。もし生活費が2倍になったとしても、月給が3倍になったら豊かな生活ができる。「年収を上げたい」は誰もが思って当然だ。

 カンタンに年収を上げるには、良いイスに座ることだ。つまりどこ(業界)で働くか。働く会社選び・業界選びであなたの年収が決まる。

 ここで日本の業界別の平均年収をグラフで理解しよう。

 総合商社・コンサル・海運がぶっちぎりだ。世界情勢の変化・インフレがそのまま自社の利益に直結している。その次に半導体・不動産・建設・医薬品・ソフトウェアが強い。上位10業界は今後何十年経っても強さは変わらないだろう(むしろ格差は拡大する)。

 その一方で、旅行・外食・百貨店・介護の平均年収は非常に低く、悲しい気持ちになる。格差が残酷に可視化されてしまった。旅行・外食・百貨店・介護は人手不足が慢性的に続いており、安く働いてくれる人を探すのにムリが発生している。日本の物価(賃金)が安すぎるのだ。日本の外食産業で会社員として必死に努力をしても、大金持ちになることはまず無い。

 伸びている業界は、どの会社も働き手が足りていない。転職エージェントや人材紹介企業に多額の紹介料を積んで人の奪い合いが起きている。破格の紹介料を払ったとしても、それ以上にクライアントからお金をぶん取れる。採用する側は、社員が増えれば増えるほど儲かる構造。DXは魔法の言葉だ。たとえ能力が無くても、評判が悪い社員でも、一流コンサルタントにステップアップ転職ができてしまう(しまった)。まさに歪みの状態だ。歪みを知らないまま転職せず低賃金で働き続けている状態は今の勤務先に搾取(さくしゅ)されているとも言える。日本国では一度採用した社員を一方的にクビにすることができない(法律上)。だから旧時代の慣例に滑り込みセーフの人はフルリモート・高年収を勝ち取れてラッキーだ。

 日本最強の高年収業界が総合商社・コンサル・海運であることが分かった。では世界に目を向けると? 世界最強の企業ではどうだろうか。