多くのメディアが
同時刻に一斉速報の背景

 ただ不思議なのは、少し法律に詳しい方ならこうなることは予想できたのに、なぜガーシー容疑者が自ら逮捕されるような状況をつくったのかという点だ。

 新聞やテレビがネットに、16日13時ちょうど(遅れたとしても数分程度)「逮捕状請求」の速報を一斉に流したのは、警視庁と記者クラブが「この時間に配信」することで握っていた証拠だろう。

 この事件に関わる記者はすべてこの流れを知っており「抜け駆けなしで新聞は夕刊から、テレビはテロップを出して詳報は午後の情報番組スタート」で一致していたわけだ。

 前述の通り、ガーシー容疑者は帰国して参院本会議で陳謝していれば、議員バッジを剥奪(はくだつ)される事態は避けられたはずだ。少なくとも国会開催中は不逮捕特権により守られ、捜査2課の聴取にも素直に応じていれば「逮捕」ではなく「書類送検」で済んだ可能性もあった。

 そうした基本的な知識を、国政政党の顧問弁護士が知らぬはずはない。ガーシー容疑者が伝えられた上で突っぱねたか、そもそも伝えられていなかったか。事件の焦点ではないが、気になる点ではある。