沈黙が気まずい、自己紹介が苦手、初対面の人と会話が続かず疲れる……。そんな、「コミュニケーション」の悩みが尽きない人にぜひ読んでもらいたいのが、2022年12月に発刊された話題の書『1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』だ。著者は、お笑い芸人たちをこれまで30年間指導し続けてきた伝説のお笑い講師・本多正識氏。本書は、ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちがその門を叩いてきた「NSC（吉本総合芸能学院）」で本多氏が教えてきた内容をビジネスパーソン向けにアレンジしたものだ。合計48の実践的なハウツーは、就職面接や取引先への自己紹介、普段の打ち合わせなど、「限られた時間で自分の考えを伝えなければならない場面」で大いに役立つだろう。
今回は、本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。本多氏に、「緊張感の対処法」について教えてもらった。（取材・構成／川代紗生、撮影／梅沢香織）
「近寄りがたい」と誤解されやすい…
初対面の人と打ち解けるリアクションのコツ
――そんなつもりはないのに「もしかして怒ってる？」と聞かれてしまったり、機嫌が悪いと思われてしまったり……。初対面でうまく話せず誤解されやすい、という悩みを持つ人は多いと思います。相手との壁を壊し、「意外と話しやすい人なんだ」と思ってもらえるような、距離を縮める会話のコツは何でしょうか。
本多正識（以下、本多） こちらは親しくしたいのに、近寄りがたく感じさせてしまったら悲しいですね。初対面の会話や、あまり親しくない間柄の人との会話ではとくに、長い「間」をつくらないことを意識できるといいと思います。
というのも、会話で「気まずさ」を生んでしまうもっとも大きな要因は「間」だからです。
――「間」ですか！
本多 たとえば、「もしかして怒ってる？」と聞かれたとき、私なら、「よう言われんねんけど、こういう顔やねん！ 悪かったな！」など、笑いも交えつつ返すと思います。
「怒っているように見えるのは、あなたのせいじゃないんですよ」とわかってもらえれば、相手が安心するでしょう。
でも、話すのが得意じゃない人は、こういう笑いを交えた言い方はハードルが高く感じると思うので、まずはとにかく「間髪入れずに」返すことを意識するといいと思います。「ぜんぜん。」「怒ってるように見える？ 怒ってない怒ってない！」など、返す内容はなんでもいいので、とにかく「間」をつくらないこと。
