「クレディ・スイス危機とSVB破綻」で、個人投資家が取るべき“対応策”Photo:123RF

米シリコンバレー銀行(SVB)破綻、そして欧州金融の雄クレディ・スイスの経営不安に伴い、世界の金融市場が混乱する中、今後、仕組債の暴落と同様の事態が日本でも起きる可能性が高まっている。こうした中、投資家が取るべき対応策について解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

多くの富裕層が購入した
クレディ・スイスなどのAT1債

 1年前に仕組債で大損した富裕層の中には、AT1債と言われるCoCo債の一種であるクレディ・スイスの社債に投資している方もいると思います。そして仕組債と同様大損するわけですが、クレディ・スイスのAT1債の価値は「ゼロ」になったはずです。

 仕組債に関しては以前の私の記事https://diamond.jp/articles/-/311261)でも詳しく書いていますので省略しますが、今回はこのクレディ・スイスのAT1債について説明したいと思います。

 AT1債とは債券ではあるものの、「Additional Tier 1」の略で、AT1債は「CoCo債」の一種です。 CoCo債は偶発転換社債(Contingent Convertible bonds)とも呼ばれる劣後債です。

 発行体の金融機関が破綻したときの弁済順位が普通の債権に比べて低く、リスクが高い代わりに金利が高い劣後債の中でも株式に近しい債券で、ハイブリッド証券とも呼ばれる債券です。