新日本酒紀行「旭鳳」創業1865年 Photo by Yohko Yamamoto

地の米と地の酵母で、父にささげる可部の地酒に挑む

 旭鳳酒造7代目を濱村洋平さんが継いだのは2015年、弱冠26歳の夏だった。初めて酒を手掛けたのはその秋だ。「父親の死に顔を見て、ささげる酒を造ろう」と、64歳で急逝した父泰司さんへの敬意を込め、杜氏に教わりながら醸した。米は広島の酒米八反錦、酵母はKBを選択。KBは蔵のある地名「可か部べ」から命名された、泰司さんが開発に関わった酵母である。完成した酒は、父と自分の名から1字ずつ取り「泰平」と名付けた。