23日のニューヨーク株式相場は総じて反発したが、その中で例外的に目立ったのが米自動車大手フォード・モーターの株価下落だった。同社の株価は、電気自動車(EV)事業で今年30億ドル(約3920億円)の赤字を計上する見込みだとの報道を受け下落した。フォードがEV事業を黒字転換できない場合、最終的には米納税者が一層の負担を余儀なくされる可能性があることから、フォードの株主でなくても、この状況は注目に値する。フォードはこの赤字について、長く立派な歴史を持つ同社が取り組む新事業の、いわゆる成長痛だと指摘した。同社は今年の業績について、それでもなお90億から110億ドルの営業利益を計上できる見込みだとしているが、その利益は既存のガソリン車の販売によるものだ。ガソリンを大量に消費するピックアップトラック「Fシリーズ」はとりわけ人気が高く、利益も大きい。フォードのグリーン・ビジネスは電力業界の場合と同様、基本的に化石燃料絡みの利益によって支えられている。
【社説】フォードEV事業、赤字を続けられる訳
政府補助金とガソリン車の利益が支え、大きすぎてつぶせない事業に
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