中国は鎖国の道を選ぶのか

 今回、筆者が対話をしたのは、30~40代の中堅世代だが、こうした世代は中国の将来を悲観する傾向が強い。中には「習氏の訪露が“鎖国の準備”を早めることになるのでは」と胸騒ぎを起こす人もいる。

 確かに「中国は鎖国の道を選ぶ」とする見方も一部にはある。その理由は二つある。世界を二つに割るかのような「デカップリング」と中国共産党の権力基盤の維持存続だ。中国には「国を丸ごとグローバル社会から隔離させることが、中国共産党の影響力を未来永劫(えいごう)、子々孫々に伝えるには有効なのだ」という考え方があるのかもしれない。

 自宅に市民を閉じ込めた上海の大規模ロックダウンからちょうど1年になる。今になって思うのは、あのロックダウンこそが、中国共産党が振るう権力の“ここぞの見せ場”でもあり、隔離政策の拡大版ともいえる“鎖国”のための練習台だったのではないか、ということだ。

 改革開放政策が導入されたのはわずか40余年前のことだった。世界に向けて開かれたその扉も、徐々に閉じられようとしている。

 中国共産党の影響力を維持しながら、仲のいい国々と“半鎖国経済”を回していく――、中国はそんな段階に突き進もうとしているのではないだろうか。