写真:オンライン会議,リモートワーク写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大以降、オンラインでのコミュニケーションが盛んになっている今、“いい声”は一種のビジネススキルになっている。だが、“いい声”とは、どんな声なのだろうか。ビジネスマン向けのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」の代表で、『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』(ダイヤモンド社)や『年収の9割は声で決まる!』(清談社Publico)などの著書がある秋竹朋子氏に、ビジネスマンが身につけるべき“いい声”について教えてもらった。(清談社 鶉野珠子)

高性能マイクを使っても
声が悪ければ意味がない

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために多くの企業が始めたリモートワークだが、感染状況が収まってきつつある今、今後もリモートワークを継続しようという企業は少なくない。出社をなくすことで、通勤時間が削減できたり、子育てとの両立がしやすくなったりするからだ。

 企業としても、定期代がカットできたり、オフィスを縮小して家賃が下げられたりと、メリットが多い。リモートワークはニューノーマルな働き方になっていくだろう。

 人と人が離れた場所でそれぞれ仕事に当たる際に欠かせないのが、ZoomやGoogle Meetといった「オンライン会議システム」だ。電話だと基本一対一でしかやりとりができないが、オンライン会議システムなら複数人でやりとりができる。また、画面共有機能を使えば資料の共有もしやすく、録音・録画も簡単なので記録も残しやすい。

 ミーティングにしろ、商談にしろ、オンライン上でのやりとりが主流になっていくなかで、発言を何度も聞き返されたり、「あなたの声は聞き取りにくい」と言われたりという経験がある人はいないだろうか。実はオンライン上では、対面以上に声が聞き取りづらくなりやすいのだという。

「対面で物理的な距離が近い状態だと、発声法が悪くても聞いている人の耳に音声が入りやすく、滑舌が悪くても口元の情報が伝わりやすいのでカバーできます。しかし、オンラインだと発声・滑舌の悪さを助けてくれる要素がなくなり、相手から『聞き取りにくい』『なんて言っているか分からない』と言われてしまうのです」(秋竹氏、以下同)

 また、オンラインならではの“デバイス”の問題もあるのだとか。

「マイクの性能が低いと、より聞き取りづらい声になってしまいます。かといって性能の高いマイクにしても、発声や滑舌が悪い人では『聞き取りづらい声』が明瞭に聞こえるだけ、という状態になってしまうのです。それどころか、マイクが高性能すぎるあまり、ノイズや雑音まで拾ってしまうケースも。やはり“声”自体が良くないと、いくらマイクが良いものでも効果を発揮しないどころか、逆効果なのです」