11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立ちます。本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏に、「さまざまな暗算法」にもふれながら、わかりやすく解説してもらいました。
おみやげ算のおさらい
さっそくですが、おみやげ算の計算法について説明します。
(例)18×16=
①18×16の右の「16の一の位の6」をおみやげとして、左の18に渡します。
すると、18×16が、(18+6)×(16-6) =24×10(=240)になります。
②その240に、「18の一の位の8」と「おみやげの6」をかけた48をたした288が答えです。
まとめると、18×16=(18+6)×(16-6)+8×6=240+48=288です。
この2ステップで、例えば、14×14、16×15、17×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。
また、新刊では紹介していませんが、例えば、35×35、72×78、95×95などの「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」も、おみやげ算を使ってすべて計算できます。
「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、本連載の第2回『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。
また、小学生向けの理由の説明は、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。
「75×12-23×23=」を暗算できますか?
次の問題をみてください。
「75×12-23×23」の計算の順序について、次の2つの計算のきまりを使います。
・ふつうは、左から計算する
・×は、-より先に計算する
これをふまえると、「75×12-23×23」の計算は、次の①~③の順に計算すればよいとわかります。
①75×12
②23×23
③(①の結果)-(②の結果)
では、上の①~③の順で計算してみましょう。
①75×12の計算
12を2×6に変形すれば、次のように計算できます。
75×12=75×2×6=150×6=900
また、「25×4=100」であることを使って、次のように計算することもできます。
75×12=(25×3)×(4×3)=(25×4)×(3×3)=100×9=900
どちらの方法も慣れると暗算できます。
②23×23の計算
23×23は、「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」なので、おみやげ算で、次のように計算できます。
・23×23の右の「23の一の位の3」をおみやげとして、左の23に渡します。
すると、23×23が、(23+3)×(23-3)=26×20(=520)になります。
・その520に、「23の一の位の3」と「おみやげの3」をかけた9をたした529が、(23×23の)計算結果です。
③(①の結果)-(②の結果)
①の結果(900)から②の結果(529)を引きましょう。頭の中で筆算をして解いてもいいのですが、繰り下がりがあって少し面倒ですね。
900のように「きりのいい数」から引くときに、便利な暗算法があります。
「900-数=899-数+1」と変形できるのを使う方法です。「900-529」なら次のように計算できます。
900-529
=899-529+1
=370+1=371
「900-529」をそのまま計算しようとすると繰り下がりが厄介ですが、「899-529+1」なら繰り下がりがないのでスムーズに計算できます。
これにより、「75×12-23×23=371」と求められました。
おみやげ算ができるようになれば、今回の問題を15秒以内に暗算することも可能です。さまざまな計算法がありますが、おみやげ算を、そのひとつに加えてみるのはいかがでしょうか。まずは、11×11~19×19の暗算をマスターしましょう。小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立つ、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』がおすすめです。