給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全――成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

外食業界の成長株にありがちな、急失速するリスクとは?Photo: Adobe Stock

外食業界のリスクの高さも認識しよう

 これまで説明したように、外食業界からは多くの成長企業が出ています。

 しかし非常に競争が厳しい業界なので、上場企業でも苦戦している企業は多いです。

 仮にブームを起こして急成長したとしても、店舗拡大を急ぎ過ぎて運営の歯車が狂ったり、他社から真似されて思うように儲からなくなったり、ということもよく起こります。

 ペッパーフードサービス(3053)の事例を見てみましょう。

 同社は2016年から2017年にかけて「いきなり!ステーキ」が大ブームになり、株価はわずか8カ月で15倍もの急上昇となりました(それ以前を含めると140倍に)。

 しかし、残念ながら「いきなり!ステーキ」のブームは、短期で失速してしまいました(下図)。

 やはり、店舗拡大を急ぎ過ぎたことや、真似する店が出てきたことなどが原因です。

 このように、あまりにも成長が速いと、そのこと自体がリスク要因になることもあるので注意が必要です。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/