給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
株の神様の最大の情報源は、日常生活にあり
将来的に業績が伸びて、株価が上昇する――。どうすれば、そのような成長株を見つけることができるのでしょうか?
伝説のファンドマネジャー(投資信託などの資金運用責任者)と言われ、世界中の多くの投資家から“株の神様”として尊敬されるピーター・リンチは、「日常生活こそ成長株探しの最大の情報源だ」といっています。
リンチは投資の専門家として多くの知識を持ち、多くの資料を読み、多くの会社を取材しましたが、その彼が最も多く成長株のヒントを得られたのは日常生活だったというのです。
特に家族と外出していろいろな店で食事をしたり買い物をしたり、妻や娘の話を聞くことで数多くの投資のヒントを得ることができたとのことです。
史上最高の投資成績を収めたといわれるウォーレン・バフェットも、お金を大きく増やした株はコカ・コーラ(※ティッカーシンボル:KO)、ウォルト・ディズニー(DIS)、アップル(AAPL)など、誰にもなじみがある商品やサービスを提供して成長した会社でした。
日本でも、日常生活でなじみ深い会社から多くの成長株が出現していることは、すでに述べました。
消費者や利用者としての感覚を活かす
どうして「日常生活に関連した株がいいのか」というと、実際にそこから数多くの成長株が出ているから、というのが第一の理由です。
多くの会社が私たちの生活を便利で楽しいものにしようとして、商品やサービスの開発や改良に日々努力しています。そうした中から、画期的なサービス・商品を開発する企業がたびたび出現し、業績や株価を大きく伸ばしていきます。
そして、日常生活に関連する分野というのは、消費者や利用者としての感覚を活かせます。
実際に体験してみることで、「この店はすごくいい、かなり伸びそうだ」とか、「実際にすごい勢いで客が押し寄せている」とかがわかります。
逆に「最近、ちょっとここのサービスは魅力がなくなってきたし、人気にも衰えが見えるな」というように、変化を肌で感じ取ることができます。
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/