日本製鉄がグループ商社の日鉄物産のTOBに踏み切った。それにより、日鉄物産は子会社化され、上場廃止が秒読みの状態だ。これが原因で、日鉄物産では退職者が相次いでいるという。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
日本製鉄が日鉄物産にTOB
思惑に反して営業力減退の事態
国内鉄鋼大手の日本製鉄(日鉄)は、昨年12月、持ち分法適用会社である日鉄物産に対する株式公開買い付け(TOB)の実施を発表した。TOBは、当初予定の今年2月下旬より1カ月ほど後ろ倒しとなったものの、3月に開始されている。
グループ商社である日鉄物産とのさらなる連携強化により、サプライチェーン全体での競争力をより一層向上させることなどがTOBの目的だ。
ところが、日鉄の思惑に反し、日鉄物産では営業力を減退させる事態が起きているという。
TOBが成立すれば日鉄物産は日鉄の子会社となり、上場廃止となることが確実だ。それを懸念した日鉄物産の社員が次々と退職しているというのだ。長年、日鉄物産と一緒に営業活動を行ってきた日鉄グループの社員は「一緒に仕事をしてきた日鉄物産の社員がこの2~3カ月で続々と辞めている」と嘆く。
上場廃止“秒読み”の日鉄物産で
退職者続出の理由
業務内容自体は大きく変わらないはずなのに、日鉄物産の社員たちが会社を見限ってしまうのはなぜだろうか。