危機をあおることが目的ではないが、このままでは日本企業の地盤沈下に歯止めがかからない。ここ最近のバラエティー番組でもテーマとして、「日本は安い国になった」と取り上げられるようになった。なぜ、このような状況に陥っているのかと考えると、企業の競争力の弱体化があげられる。もっと言うと、企業内での意思決定が課題となって積み重なっている結果だ。経営には「A・B・C」があると聞いたことがある。A=当たり前のことを、B=馬鹿にしないで、C=ちゃんとやる、だ。(OXYGY 代表取締役/アジア・パシフィック代表パートナー 太田信之)
現状維持を続ける
日本企業に魅力なし
30年近く日本経済は停滞している。世界での競争力は相対的に低下し続けている。ここに4つのグラフを共有する(図表1)。名目GDP、世界競争力ランキング、成長株価の推移、実質賃金の推移をまとめている。グラフを読むとアジア・オセアニアというくくりの中でも、名目GDPの成長率で唯一成長が横ばいなのが日本だ。
1989年バブル絶頂期には世界競争力はトップクラスだったが、今では31位に甘んじている。実質賃金においては、相対的には増えるどころか20年以上減少が続いてきた。
日本が停滞している原因の一つとして、企業が昭和の高度成長期の成功から変化できていないことがグラフからも見て取れる。過去に成功した事業に固執し続け、新規事業による成長(ポートフォリオ変革)ができてない。