脱デフレ時代、ROEの向上で日本株上昇トレンドが始まる日経平均3万円が底値圏になる上昇トレンドが来年始まるのか Photo:AP/AFLO

 昨年3月以来の急速なドル金利引き上げによる世界的な株価の下落は収まりつつあるものの、強い上昇トレンドに戻らぬまま、日米ともに株価は狭いレンジで上下動を繰り返している。

 米国を中心に世界経済は来年にかけて景気後退に向かっており、株価の本格上昇トレンドへの転換は恐らく、目先に控えたこの景気後退を抜けた2024年以降になるだろう。日本株について言うと、次の上げトレンドで、日経平均は3万円を回復し、逆に3万円が底値圏になるような変化が進行しているように思える。

 その変化を構成するポイントの1つは、脱デフレの定着とインフレ率の底上げで、自己資本利益率(ROE:Return On Equity)が押し上げられることだ。今回はこの点について説明しよう。

 まず日本株の長期見通しについては、2019年11月の論考で、日本企業の営業利益と経常利益の趨(すう)勢的な上昇率をベースに2020年代の半ば頃に3万円を超えて上がっていくと述べた(「日経平均は2020年代に3万円回復か、長期右肩上がりトレンド復活の現実味2019年11月7日掲載)。

 またそのときに「筆者の予想通りに2020年中に日米をはじめ世界的な景気後退が起これば、1ドル90円程度の円高と日経平均で1万5000円(TOPIXで1223)程度までの下落が起こる可能性が高い」として、2020年に一度落ち込んだ株価がその後回復・上昇するトレンドを予想した。

 結局、2020年の景気後退は、新型コロナショックとその対応としての財政出動で、急激だが、短期的なものに終わり、急落した株価も上げトレンドに戻った。筆者の日本株に関する長期見通しは、基本的に当時と変わっていない。

 ただし過去1年、日本にも波及しつつあるインフレの波が、日銀の金融政策と相まって、2024年以降、日本株の上昇を後押しする要因になりそうだと考えている。どういうことか説明しよう。