手帳を開くビジネスマン写真はイメージです Photo:PIXTA

日々追われるタスクを手帳に書き込み、終わったものを塗りつぶす。でも、その日のうちにタスクがすべて終わらなければ、「自分はダメなのかな」と思ってしまう。そんな手帳術では、あなたの自己肯定感は下がるばかり。「ありたい私」を追求するための手帳への向き合い方について、自分にやさしくなれる手帳「pure life diary」の開発者の本橋へいすけさん・井上ゆかりさんの著書『人生の純度が上がる手帳術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・編集してお送りします。

スケジュール管理が
自己肯定感を下げる

 手帳術といえば、スケジュール管理のイメージが強いと思います。そのスケジュール管理が自己肯定感を下げていると聞けば、驚くのではないでしょうか。

 ただ、手帳をつくる過程でたくさんの人の話を聞いたり、手帳ユーザーのみなさんの声を集めていったりするなかで、自己肯定感を下げている人があまりに多いことに気づきました。それは、なぜなのでしょうか?

 一般的な手帳は、やることをスケジュールに落とし込み、実行していきます。TO DOリストがあり、それをしっかりこなすための手帳という考え方がふつうです。このような考え方を私たちは「TO DO思考」と呼んでいます。しかし、TO DO思考は問題を抱えていました。

 TO DO思考はやる「べき」ことから考えます。TO DOリストをこなせたか?つまり「ちゃんとできたか?」が評価基準。TO DOリストの内容をすべて実行するのが当たり前で、パーフェクトにできたらようやく、プラスでもなくマイナスでもなく0点です。そして、1つでもできないとマイナスの評価になります。つまり、TO DO思考は減点評価の考え方なのです。

 TO DO思考で行っているのは、課題設定や、課題克服のための行動、自己管理。そのため、自分に厳しくなる傾向があります。

 たくさんできたことがあっても、1つでもこなせないと罪悪感を抱いたり、自己肯定感が下がったりしてしまいます。タスク管理に追われてしまい、自分の感情が置いてけぼりになることもあります。

 また、TO DO思考に陥ってしまうのには、以下のような背景があることもわかりました。

・もともと「今のままじゃダメだ」と思っていて、自己肯定感が低い
・他者からの評価や他者貢献に存在意義を見出している
・がんばるのがふつうだと思っていて、感覚が麻痺している
・内省し自分と対話する習慣がない
・正しい答えを出すべきという思い込みがある
・心のつらさや痛みを自覚できない

 みなさんは、心当たりがありませんか?

 手帳が続けられないと悩んでいる人は、気づかないうちに、自分に対して厳しい減点評価で考えているのかもしれません。TO DO思考でいると、手帳が続けられなかったことに対して自分を責めてしまいがちです。その結果、さらに自己肯定感が下がってしまうのです。