11×11~19×19をパパっと暗算できる「おみやげ算」。新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立ちます。本書の著者である、東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏に、「植木算の考え方」にもふれながら、わかりやすく解説してもらいました。

【制限時間10秒】「2本の電柱の間に、12mおきに17本の木を植えるとき、電柱間の距離が何mか」を暗算できる?Photo: Adobe Stock

おみやげ算のおさらい

さっそくですが、おみやげ算の計算法について説明します。

(例)16×13=

①16×13の右の「13の一の位の3」をおみやげとして、左の16に渡します。すると、16×13が、(16+3)×(13-3)=19×10(=190)になります。

②その190に、「16の一の位の6」と「おみやげの3」をかけた18をたした208が答えです。
まとめると、16×13=(16+3)×(13-3)+6×3=190+18=208です。

この2ステップで、例えば、14×14、18×15、17×19などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります。

「おみやげ算で計算できる理由の証明(文字式を使った説明)」については、本連載の第2回『「16×18=288」が爆速で暗算できる驚きの方法』に掲載しています。

また、小学生向けの理由の説明は、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に、長方形の面積図を使った方法を載せているので、興味のある方はご参照ください。

2本の電柱の間に、12mおきに17本の木を植えるとき、電柱間の距離は何m?

まず、次の問題をみてください。

【問題1】2本の電柱の間に、5mおきに3本の木を植えます。このとき、2本の電柱間の距離は何mですか。

このような問題は、植木算と呼ばれ、中学受験の算数などで出題されることがあります。なお、今回の問題は、4月29日に配信したのとは違うパターンの植木算です。では、さっそく解いていきましょう。

【問題1】は「5×3=15(m)」と答えると間違いになります。

植木算を解くとき、「木(電柱)と木の間の数」に注目することがポイントです。この問題では、両端に電柱が立っています。そのため、「木(電柱)と木の間の数」をで表すと、次のようになります。

電柱電柱

つまり、「間の数()」が、(木の本数3に1をたした、)4あるということです。これにより、5mに4をかけた、(5×4=)20mが答えとなります。【問題1】をふまえて、次の問題を解きましょう。

【問題2】2本の電柱の間に、12mおきに17本の木を植えます。このとき、2本の電柱間の距離は何mですか。[制限時間 10秒]

【問題1】と同様に考えると、「間の数」は、(木の本数17に1をたした、)18です。そのため、12mに18をかけた結果が答えになります。

「12×18」は「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」なので、おみやげ算で次のように計算できます。

①12×18の右の「18の一の位の8」をおみやげとして、左の12に渡します。すると、12×18が、(12+8)×(18-8)=20×10(=200)になります。

②その200に、「12の一の位の2」と「おみやげの8」をかけた16をたした216が「12×18」の計算結果です。
まとめると、12×18=(12+8)×(18-8)+2×8=200+16=216です。

2本の電柱間の距離は「216m」ということですね。スムーズに求められたでしょうか。

おみやげ算ができるようになれば、【問題2】を10秒以内に暗算することも可能です。さまざまな計算法がありますが、おみやげ算を、そのひとつに加えてみるのはいかがでしょうか。まずは、11×11~19×19の暗算をマスターしましょう。小学生の計算力強化はもちろん、大人の脳トレとしても役立つ、新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』がおすすめです。