先の集団規範も、メンバーが「他にいくところがないし、我慢していれば将来的には報われるので、今は集団に順応するしかない」という状態に置かれて、初めて機能するものだ。しかし、これらの制度の崩壊によりその状態はなくなった。

 後に残ったのは、日本型コミュニティの崩壊と「不機嫌な職場」だった。

 ミンツバーグ教授が見過ごしているのは、かつての日本の会社組織がコミュニティとして発展してきた理由は、そのような制度に支えられた集団規範(しがらみ)であったことだ。

従来と違う「新・日本型コミュニティ」
経営学に日本から新しい風を吹き込め

 ただし、ミンツバーグ教授の言うように、コミュニティとして組織を育てていくことには大いに賛成するし、必要不可欠なことだと私は考えている。

 ならば、私が提案するソリューションは、80年代とは違った形の新・日本型コミュニティを創ることだ。

 私はそれは「魅力」によってつくられると考えている。そこにいる人々の魅力、働く場所の魅力、働く内容の魅力、などなど。様々な側面で魅力的な組織にしなくてはならない。そしてそのために、経営者は知恵を絞って様々な「仕掛け」をしていくのだ。

 このコラムを通して述べていることは、したがって、ミンツバーグ教授と同じゴールを目指している。だがその方法は現代の日本社会によりマッチしたものであるべきだ、というのが私の主張だ。そのためには米国の事例を参考にしても構わないと思っている。

 たとえば、ここで何度か紹介している、初期グーグルやザッポス、ピクサーなどの経営は、今の日本人にとって学ぶものが多いと考えている。

 それらを参考にして、実践を重ね、いつかミンツバーグ教授に、新しい日本型コミュニティとしての会社組織を紹介し、経営学に日本からの新しい風を再び送り込めることができることを願っている。