多くを語らず、人の目を見ながら意見をじっくり聞く姿勢
海外トップ層のコミュニケーション術を見るとき、大きな特徴があります。それは、夢を語り合うようなときは饒舌になることもありますが、「誰かに何かを聞くときはじっくりと聞く」ということです。
これは、キャラクターというものではなく、なんらかのトレーニングを受けていると考えられます。その一つはメディアトレーニングであり、また、エグゼクティブプレゼンテーション術ではないでしょうか。彼らはそうしたトレーニングのなかで、じっくり聞いて即答し、じっくり考えて手短かに聞く、ということを学んでいるはずです。そして、そのような彼らに対すると、私たちは大きなプレッシャーを感じるのです。
日本のトップ層にも、このような人材はいるでしょう。ただ、日本のトップ層と海外トップ層との明らかな違いは、海外トップ層の場合は、世界各国で同じような経験を重ね、同じように対応しているということです。風土や文化、コミュニケーションの手法も異なる世界から情報のエキスをつかみとって次のビジネスに活かすために、このことは彼らにとっては必然的に身につけなければならない対応法なのかもしれません。その積み重ねがコミュニケーション術の差となってくるのです。
トップ層は小さなことは気にしない
Dさんのような海外トップ層とコミュニケーションをとっていくにはどうしたらよいか。まず、彼らのようなタイプは、小さなことや些末なことは気にしないので、その部分にこちら側もこだわらないことです。彼らの豊かな経験のなかに、自分自身の経験はすっぽり収まっているともいえるので、些末なことをあれこれと語るのは、わかりきったことで互いにとって時間のムダとなるでしょう。
加えて、同様に、自分のことを多く語りすぎないこと。これも同様の理由です。むしろ、他人目線が重要です。「私の顧客が別の意見をもっている」とか「知人にそのことが得意な人がいる」など、つねに「相手にとって想定していないネタ=他人情報のエキス」を届けようとすると、頭のいい彼らは敏感に反応します。
もちろん、自分自身が彼らと同じように、じっくりと調べ、じっくりと話を聞き、手短に質問する、いわば本質を突くトレーニングをしておくことは欠かせません。
(次回は3月1日更新予定です。)