英語を学ぶ子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

文部科学省は2023年度から特別な才能を持つ子どもたちの支援に本格的に乗り出す。だが、“ギフテッド”という言葉が独り歩きした教育が行われた場合、教育競争がさらに過熱化するリスクもはらんでいる。(清談社 田中 慧)

第二次世界大戦末期の日本でも
行なわれた「ギフテッド教育」

 2021年7月、文部科学省が記憶力や言語能力などに突出した才能を持つ子どもへの支援の検討をはじめた。こうした子どもたちは欧米では“ギフテッド”と呼ばれ、すでに支援が進んでいる。しかし国内での支援はこれまで積極的には行われておらず、同世代の子とのコミュニケーションや学習レベルの差に悩むケースが一部で深刻化していたとされる。

 その後、2022年には“特異な才能を持つ子”たちへの支援に関する有識者会議が開かれ、2023年度の予算案に“特異な才能を持つ子どもたちへの支援”として8000万円を計上することを発表している。

 ただし、この政府の動きには賛否両論があり、うかつに「ギフテッド教育」を持ち上げることへの懸念の声が存在するのも事実。子どもたちの多様な学びを支援するプロジェクト「LEARN」の責任者で東京大学シニアリサーチフェローの中邑賢龍氏もそのひとりだ。