体調の悪い男性コロナの5類移行で、みなし入院に支払われていた民間医療保険金も廃止となる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、実際には入院をしていない自宅療養者にも民間保険会社の入院給付金が支払われるという「みなし入院」措置。これが5月8日に完全廃止となる。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第260回では、そもそも「みなし入院」とは何だったのか、これからどう変わるのか見ていこう。(フリーライター 早川幸子)

自宅や宿泊施設での療養にも
入院給付金が支払われた「みなし入院」

 ゴールデンウイーク明けの5月8日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付けが、「2類相当」から「5類感染症」に移行した。

 前回の本連載で紹介したように、この移行に伴い、これまでCOVID-19の医療費に対して行われていた公費負担が大きく見直された。

 同時に、コロナ禍で民間保険が特例的に行っていた「みなし入院」に対する入院給付金の支払いも、完全に終了した。

 世界的なパンデミックのなか、COVID-19の感染に備えて新たに医療保険に加入した人もいたのではないだろうか。今回の見直しで、民間保険の取り扱いはどのように変わったのか。詳しく見ていこう。

 民間の医療保険(医療保障)の入院給付金は、病院や有床診療所などの医療機関に入院したときに、保険会社から契約者に対して支払われるものだ。「入院したら、1日当たり5000円」など、あらかじめ設定した日額給付金が、入院した日数分支払われるタイプが一般的だ。近年では、入院日数にかかわらず、「入院したら20万円」など、まとまった一時金が支払われるものも出ている。

 いずれのタイプでも、ここでの「入院」とは、「医師による治療が必要で、かつ自宅等での治療が困難なため、病院または診療所で、常に医師の管理下において治療に専念する」状態を指している。つまり、入院給付金は、医療機関に入院し、治療を受けた人でなければ受け取れないものだ。

 だが、コロナ禍で、この「入院」の範囲が特例的に広げられたのだ。その経緯を詳しく見ていこう。

●22年9月26日までは、全ての自宅療養者に「みなし入院」措置が適用され医療保険の入院給付金が支払われていた
●それ以降は4種類のハイリスク者のみへの適用になり、5月8日から完全廃止となった