インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書だ。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
インデックスファンドを買うのは、
「市場全体」を保有すること
投信は、運用方法に着目すると「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2つに分類できます。この分類は、投信を選ぶうえで非常に重要なポイントです。違いをよく見てみましょう(下図)。
インデックスファンドとは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった指数(インデックス)をベンチマークとし、値動きが指数に連動するように運用する、非常にわかりやすい投信です。
たとえば、日経平均株価に連動するタイプの国内株式ファンドなら、日経平均株価を構成する225銘柄に投資するとイメージしてください。インデックスファンドを買うのは「市場全体」を保有することにほかならず、多くの銘柄に偏りなく分散投資できるのが特徴の1つと言えます。
指数にはさまざまなものがあり、たとえば株式なら日経平均株価やTOPIXなど日本の株式指数だけでなく、米国のNYダウやS&P500などの指数、中国株やインド株の指数はもちろん、「先進国株式」「新興国株式」や両方をひっくるめた「グローバル株式」の動きを示す指数もあります。
当然、債券にもさまざまな指数があり、たとえば先ほど債券ファンドの一括投資と積み立て投資の例で取り上げた「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」は、日本を除く先進国の債券市場の値動きを示す「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」という指数に連動するファンドです。
商品選びはコストをチェックするのが
最も重要なポイント
一般に、インデックスファンドは日々のインデックスに投信の値動きを合わせるようにプログラムされたシステムによって運用されるため、アナリストが銘柄を調査・分析したり、ファンドマネジャーが投資のタイミングを考えたりすることはありません。
したがって、ファンドマネジャーの手腕によって運用成績が大きく左右されることはほとんどなく、「同じ指数に連動する商品なら運用成績は同じ」と考えて差し支えありません。
インデックスファンドは、組み入れ銘柄の選定のための調査などに手間をかける必要がありません。このため運用にかかるコストが低く、ノーロードの商品や信託報酬が低い商品が多いのも特徴の1つです。運用には差がないので、商品選びはコストをチェックするのが最も重要なポイントとなります。
(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。