日本は少しずつ、確実に貧しくなっています。それでも平成の時代は昭和の遺産を食いつぶすように生きながらえることが出来ました。しかし、令和の時代はますます厳しさが増していくことは間違いありません。今はコロナのことで皆さん頭がいっぱいになっていますが、この危機が去った時にどんな経済状況が待っているのか。それを考えるとゾッとします。
 日本人の貧困化を食い止めるにはどんな方法があるのか?
 その一つは、一人ひとりが「投資家の思想」を持つことだと思います。これまで多くの日本人は「労働者の思想」しか持っていませんでした。しかしその思想では、もう未来がないのです。
「投資家の思想」こそが日本の未来を切り開くと私は信じています。少なくとも、その思想を持てた人は、生き残ることが出来ます。
 投資をすることがビジネスパーソンとしていかに大事であるかということを知っていただきたいと思い、私は『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)という本を書きました。ここで言う投資とは、チャートとにらめっこして売り買いを繰り返すことではありません。それは「投資」ではなく「投機」です。ギャンブルとなんら変わりありません。私が言う「投資」とは、もっと大局的でビジネスの本質に関わるものです。

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TOPIXとS&P500
何が違うのか?

 会計の知識はないのだけれども、資産形成の必要性も感じているという人は、ひとまず投資信託(ファンド)を買うという手があります。

 株式を組み入れて運用する投資信託には、ざっくり申し上げると「インデックス型」と「アクティブ型」があります。結局、どっちを買ったら良いのかという話に終始してしまいがちなのですが、大事なことはきちんと中身を理解してから買いましょうということです。

 インデックス型とは、要するに市場全体を買うというイメージの投資信託です。株価インデックスといって、株式市場全体の動向を示すインデックスがあり、それに運用成績が連動するようなポートフォリオで運用します。日本株であれば、日経平均株価に連動するタイプと、TOPIX(東証株価指数)に連動するタイプが双璧といっても良いでしょう。米国だとS&P500に連動するタイプが主流です。

 中身を理解してから買いましょうと言ったのは、インデックスであれ、アクティブであれ、結局、投資信託に含まれているのは「企業の株式」だからです。その投資信託に含まれる企業群が利益を増やすことができるかどうかで、皆さんの資産の増え方が大きく違ってきます。

 よく「インデックスファンドを長期で保有しましょう」といった話を耳にするのですが、それなら日経平均株価に連動するインデックスファンドを1989年に買って、以来30年以上にわたって保有した人は今、報われたでしょうか。

 答えはノー、です。日経平均株価は1989年12月に3万8915円の高値を付けましたが、2020年2月時点では2万3000円台ですから、全く高値を更新していません。TOPIXも同じです。つまりこの30年間、日本株のインデックスファンドに投資し、保有し続けていたとしても、全く収益が得られていないのです。

 でも、同じインデックスファンドでもS&P500など米国の株価インデックスに連動するインデックスファンドを買った人は、かなりの運用収益が得られているはずです。

 なぜそんなに違いがあるのかということですが、これは本当に素晴らしい会社でなければ、S&P500の500銘柄に入れてもらえないからです。会社としての魅力が無くなったら、あっという間にS&P500の対象から外されます。

 これに対してTOPIXなどは、東証1部上場企業全銘柄が対象です。よほどのことがない限り上場廃止になりませんから、新陳代謝が全く進みません。よく「インデックスファンドはコストが安いからいい」という話を耳にしますが、中身が悪かったらどれだけコストが安かったとしても、そこに投資してはダメだということです。

 たとえるなら、S&P500がプロ野球のオールスターチームだとすると、TOPIXなどはさしずめアマチュアとプロの老若男女混合チームのようなものです。

 ある意味、S&P500というのは、指数そのものがアクティブ運用であると考えることも出来ます。かなりダイナミックに銘柄の入れ替えを行っていますから、私は世界最強最大のアクティブファンドマネジャーであるとすら思っています。