上司と部下写真はイメージです Photo:PIXTA

上司に必要なスキルの一つに、「評価納得を得ること」があります。節目ごとに部下に仕事と成果を振り返らせ、上司からのフィードバックに納得を得てもらい、次の成長に向かわせることです。「評価納得」は、部下との評価面談の際に醸成します。部下の意見や気持ちにじっくりと耳を傾けながら、本人の内省を促していくことが鍵となります。その際、重要になるのが、上司の傾聴力です。今回は、部下の考えを引き出す「傾聴の6つのステップ」について解説しましょう。
※本記事は前川孝雄『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』から抜粋・再編集したものです。

「アドバイスより傾聴」を心がける

 部下を次なる成長に向かわせたいと願うとき、経験豊富な上司ほど、部下にいろいろと有益な指示・命令やアドバイスをしたくなることでしょう。しかし、支援者としての上司力には、指示・命令する力は有効ではないもの、と心得ましょう。

 特に、部下が自分で考える前に上司の考えを指示やアドバイスすることは、部下の育成上、良策ではありません。仕事の主体者はあくまでも部下自身であり、成長を促す意味でも部下にいかに考えさせるかが重要なのです。

 そして、部下に考えさせるために必須なのが、傾聴のスキルです。しかし、これを効果的に行うことは容易ではありません。そこで、以下、傾聴の心得と具体的な方法を解説していきましょう。

 通常、傾聴というと、黙ってじっくり聴くことをイメージしがちかと思います。しかし、アドバイスしたいのをぐっと堪えて、黙って聞くのは傾聴本来の姿ではありません。大切なのは、部下の考えをしっかり理解するために意思を持って積極的に聞く、アクティブリスニングの姿勢なのです。

 そのためには、上司が適宜、部下に問いかけることも必要なのです。特に部下の考えがまとまらない場合など、モヤを払ってあげるような上手な質問を投げかけることも、上司には求められるのです。