チームのレベルアップには、リーダーによる適切なフィードバックが欠かせない。しかし近年は従来のやり方では通用しなくなってきているのも事実だ。では、ミレニアル世代にフィットする指導法とは――。国内外10カ国でキャリアを積み、モチベーションアップのカギは「承認」だと提唱しているヴィランティ牧野祝子氏の著書『国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック』(あさ出版)より一部抜粋・編集しお伝えする。
ポジティブフィードバックは
「適切なナビ」
便利な世の中になり、はじめての場所であっても、カーナビやスマートフォンなどの地図機能(ナビ)を使うことで、大きく方向を間違うことなく向かうことができます。
経験したことのない何かを始める時には、ルールやガイドラインにのっとって進めることで、方針を見失わずにすみます。
フィードバックなしで仕事を続けるのは、「ナビなしではじめての場所に向かう」ようなものです。目的地のだいたいの方向は教えてもらったものの、行ったことがなく様子もわからないため、何が起きるか、どれくらいの時間がかかるのかが見えないまま恐る恐る向かうしかないという状態です。
フィードバックがないと、「こっちでいいのかな」「これであっているのかな」とイライラが溜まり、解消できないために仕事に集中できず、悩みに捉われ、時間とエネルギーをムダにしてしまいます。当然、この状態では、周りを見る余裕も、新しい可能性を探ろうというやる気も持てず、よりよい結果を生むのは難しいでしょう。
ベストセラー『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)の中で精神科医の樺沢紫苑氏が言っているように、いくらインプットとアウトプットを繰り返しても、「フィードバックがないと(インプットや行動の方向修正がなく)、同じところを延々と回り続ける」だけで、まったく成長には繋がらないのです。
こまめにフィードバックすることで、仕事のやり方が明確になるだけでなく、さらに効率的に高品質のアウトプットをすることが可能になります。言うまでもなく、余計な不安に仕事が妨げられることもなくなります。
さらにポジティブフィードバックという「適切なナビ」があれば、よりよい状態で仕事に向き合うことができるため、部下のポテンシャルを最大限に発揮してもらうことができるでしょう。
ミレニアル世代は
多くのフィードバックを求める
日本では、これまでビジネスパーソンの中心であったベビーブーマー世代が引退し、就業者人口の多くは、ミレニアル世代(1980~1995年生まれ)へとシフトされつつあります。
彼らは、80年代、90年代に社会人となった人とは育ってきた環境がまったく違います。
SNSを活用するのが当たり前という環境で育っているので、「いいね」や瞬時のコメント、スタンプなどで、常に「フィードバック」を受けているのもその1つです。