2023年の首都圏中学入試の受験者総数は過去最高を記録した。開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕、武蔵、海城……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。VAMOS代表の富永雄輔氏は、最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』で、子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」を提唱し、圧倒的な支持を集めている。本稿では、富永氏が登壇したオンラインセミナー(2023年6月2日開催)で、参加者から出た質問への回答を紹介する。

中学受験の偏差値を見る前に、親が絶対知っておくべき1つのことPhoto: Adobe Stock

Q.偏差値はいつから意識すべきか?

質問者:小学4年生の子どもを持つ保護者

――子どもの偏差値はいつ頃から意識して勉強した方がいいですか? 偏差値を伸ばすためには、どの科目を重点的に勉強すべきなのでしょうか?

富永雄輔:お子様が4年生であれば、今の偏差値を深刻に考える必要はありません。

 偏差値は周囲のレベルに影響されるため、急に上がることもあれば、頑張っているのに伸びないこともあると思います。

 それよりも、お子様の学力が着実に伸びているかを見てあげてください

 先週に教えた内容が今週はできていれば、学力は伸びていると考えます。

「先週覚えたものは今週身につき、今週覚えたものは来週身につき……」というステップを踏むことで、その子の学力は確実に伸びます。

 一つひとつは小さなステップでも、段階的にアップしていけば、やがて中学受験の志望校にも合格できます。

 私は常々、6年生の9月までは偏差値を気にしなくていいと言っていて、9月になってから偏差値を見て、志望校を絞っていけばいいと考えています。

 また、どの科目が重要かと言えば、中学受験に関しては、算数が得意な子どもが圧倒的に有利です。

 今の中学入試の算数は、とてもよくできていて、それぞれの中学の先生や塾の先生が、本当に知恵を絞って問題を作っています。

 ですので、一般的にイメージされるような「詰め込み」で解けるような問題ばかりではありません。

 保護者の皆さんにも解いていただきたいような素晴らしい問題がたくさんあります。

 逆に言ってしまえば、「努力をすれば誰でもいい点数を取れる」と断言できるほど甘くはありません。

 最近の中学入試の算数の傾向をふまえると、いわゆる「地頭(じあたま)」を試すような問題も出題されます。

 偏差値50の算数の問題で求められている力と、偏差値60の算数の問題で求められる力は、全く異なるので、ぜひ保護者の方にも中学入試の算数の問題を確認していただきたいです。

 お子様が最終的にどんな問題を解けるようにならなければいけないのか、ゴールを見据えておくことも大事です。