開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

低学年の算数力アップに必要な2つのことPhoto: Adobe Stock

(1)間違いを直さない

 子どもの勉強を見ていると、いろいろ間違いに気づくでしょう。親としては当然、直したくなりますね。でも、ときに「直さない勇気」を持ってほしいのです。

 とくに、算数は注意が必要です。算数のように、はっきりと答えが出る教科では、親は子どもの間違いに我慢ができません。

 たとえば、正解が「28」ならば、27でも29でもなく、28に行き着くまでやらせようとします。

 しかし、親がガミガミやりすぎれば、子どもは参ってしまいます。

 もちろん、いくら間違っていても放置しろと言っているのではありません。直させるべきは直させていいのです。

 ただ、子どものレベルによって、直る問題と直らない問題があります。塾に入ったばかりの子どもに、テストや復習で100%を望まないようにしてください。

 子どもには、「今できること」と「今はまだできないこと」があるのです。

 3回やり直して正解が出たのなら、それはやった意味があるでしょう。

 しかし、何度やってもできない問題について「もう1回、もう1回」と追い詰めても、子どもは苦しいだけです。

(2)間違いを残す

 子どもの算数を見る上で大事なのは、紙に書いた計算式を必ず残させることです。

 間違った式や計算を消しゴムで消す習慣はやめましょう。答案のプロセスをチェックしてください。

 それによって「どこでつまずいたか」がわかります。それをせずして、答えだけを突き合わせ、「間違っているからもう一度」と迫るのは効率的ではありません。

 なお、「じゃあ、お父さんが解いてみよう」と正解を見せるのもやめましょう。

 子どもの学力は、ステップを踏んで伸びていきます。ある段階がクリアできていない子に、その上のことを学ばせようとするのは無理なのです。

 子どもは子どもなりに考えています。その「考える」は、できる範囲のことでこそ可能です。

「なんだか、もうちょっとでわかりそう」と思うから真剣に考えるのであって、最初から手が出ないことに関しては、考えようがありません。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)