株価が割安のまま放置された企業の中には、実は最終黒字で自己資本比率が高いなど財務、業績共に堅調であるにもかかわらず、株主還元を行ってこなかった企業がある。キャッシュをたっぷりと持ちながら割安で放置されているということだ。特集『激安株を狙え』(全13回)の#2では、投資情報サービスのフィスコに依頼してこうした傾向にある159社を抽出すると、なんと複数の民放キー局や、日本を代表する鉄道会社が入った。「還元期待度」でランキングしたので、投資の参考にしていただきたい。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
キャッシュたっぷり、株価は割安
隠れたお宝から民放キー局まで!
PBR(株価純資産倍率)が1倍割れの上場企業に対し、東京証券取引所が昨年から開催している有識者会議では、「いわば落第点をとっているということ」などとメンバーから厳しい意見が噴出した。
東証は今年3月末にその議論をまとめ、企業に対し、資本コストを意識した経営を実践することと、その手段や目標を投資家に具体的に示すよう求めた。
PBRとは平たく言うと、企業の純資産額に対する株式時価総額の割合であり、値が高ければ株価が割高、低ければ割安と見なされる。トヨタ自動車やメガバンクなど日本を代表する大企業がPBR1倍割れと、時価総額が純資産の総額を下回っていることが注目された。
そこでダイヤモンド編集部は、投資情報サービスを提供するフィスコ情報配信部の仲村幸浩氏に依頼し、PBRが1倍割れしている日本の全上場企業で、株主還元を行う余力がありながら十分に行ってこなかった企業159社を抽出してもらった。
さらに、この159社を5項目でパーセンタイル化(データを大きさの順に100に区切り、小さい方からどの位置にあるかを示す)し、総合パーセンタイルを算出。今後、株主還元が行われる可能性が高いと考えられる順位を付けてランキングした。
その結果、さほど有名ではない“お宝銘柄”に交じって、民放キー局や大手鉄道会社など、誰もがユーザーとしておなじみの超有名大企業が一部ランクインした。彼らが株主還元を必ず行うとの保証はないが、時流にマッチした指標として投資の参考にしていただきたい。