外資系企業から転職、
退職金2000万円あったはずが……

「将来のために、投資を始めたい」と家計相談に来られたBさん(55)。外資系の会社で働いていましたが、最近転職をし、退職金が2000万円ほど入ったそうです。それを元手に、投資を始めたいと希望されています。

 しかし、相談に来られた時点でこの退職金は半分程度になっていました。金利がもったいないからとマイカーローンやクレジットカードの分割払いなどを完済し、また自分へのご褒美と称した買い物や、娘へのご褒美などに使ってしまっていたのです。

 それでもまだ1000万円弱は残っています。預貯金と合わせて生活防衛資金を確保できるなら、投資を始めることに問題はありません。ですが、話を聞いていくとそれも怪しい状況です。

 転職前は収支トントン、転職後の現在は毎月10万~20万円の赤字を出す家計状況。月収は手取りで40万円後半ほどありますが、支出は60万円ほど。妻とはずいぶん前に死別しており、今は大学生の一人娘と二人暮らしで、かなり自由にお金を使っている様子です。

 赤字分は貯蓄から補填。ということは、今の貯蓄は今後もどんどん減っていくということです。娘の大学費用も貯蓄から出すのですから、投資をしている場合ではありません。逆に言うと、投資をすれば学費の心配も出てきますし、いずれ投資原資を出せなくなり、生活も困窮することになるかもしれないということです。