写真:中国の習近平国家主席中国の習近平国家主席 Photo:AFP=JIJI

G7(主要7カ国)広島サミットが5月21日に閉幕し、主要メディアが行った世論調査では、議長として岸田文雄首相を評価する声が多数だという結果が報じられている。しかし広島サミットの結果は、世界の主要国が中国にすがりつかんばかりの声明を出し、それを日本がまとめたという「外交的敗北」以外の何物でもない。中国だけが笑みを浮かべる状況を自ら作り出してしまったといっても過言ではない。(イトモス研究所所長 小倉健一)

G7広島サミットでの
「岸田外交」に疑問符

 5月21日に幕を閉じた主要7カ国首脳会議(G7サミット)。被爆地の広島県を舞台にG7各国や招待国の首脳らが討議し、5月20日には、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がフランスの政府専用機で来日し、議論に加わった。中国とロシアを除く、世界を代表する国が集まったわけで、解散総選挙がうわさされる岸田文雄首相にとって、国内への絶好のアピールの場となったことだろう。

 他方、米国の債務上限問題があり、G7に続いてオーストラリアで開催される予定だった日米豪印4カ国の枠組み、クアッドの首脳会談は中止となり、G7の日程の中でごく短期間で行われることとなった。

 結束できたという演出は、G7全ての国が望むところなので当然の結果と言えるが、日本が安倍政権当時のように主体的な独自外交を目指していたかどうかは非常に疑問符がつく。この辺りを見ていこう。