いつも他人と比べてしまう」「このままでいいのか、と焦る」「いつまでたっても自信が持てない…」。仕事や人生に悩んでしまった時、どう考えればいいのでしょうか。『機嫌のデザイン』の著者であり、数々の名言がTwitterで話題となった、プロダクトデザイナー・秋田道夫氏の「毎日を機嫌よく生きるためのヒント」を紹介します。

「いつも感じがいい人」が誰かと話す時に守るようにした、シンプルなルールPhoto: Adobe Stock

誰に対しても「さん」付けで話す

─「誰と会う時にも油断をしない」。その意味を教えてください。

出会う人すべての「背景」は計り知れないという意味です。

肩書きや所属といった分かりやすいラベルでもって、「この人は偉い」「この人はそうでもない」などと決めつけるのは非常にリスキーです。

「憧れられる職業に就いている人よりも、人がやりたがらない仕事をしている人の中に本当に偉い人が隠れている」と、昔から思っているのです。

どこに偉い人がいるかは分からない。だから、油断は禁物です。

─具体的にはどんな行動になりますか?

たとえば、わたしは誰に対しても「さん」付けで呼ぶと決めています。

上や下、内や外、そういう区別なく等しく「さん」付けです。

─つい、「どっちが上か」などと推し測ってしまいますね。

区分けによってなんとかして優位な自分を構築しようとしますよね。

でも、結局は自分の意が届かない人によって自分は評価されてしまうのですから、それも無駄なんです。

デザインも同じで、どんなに説明文を添えたとしても、それでどこまで意図が伝わるかの保証はないわけです。

語りで伝えるのには限界がある。だから、「語らないもの」が語る力を持たなければいけない。

デザインってつまりそういう力なんです。製品を語るものに変える力。人格を宿すような力です。

もう一つ、わたしがいつも心に留めていることがあります。

口で勝たない。目で負けない」。

─どういう意味でしょうか。

デザイナーは理屈で論破してもしょうがない。それにいい負かされた相手はずっと根に持つでしょう。長い目で見て得策とは思えません。それで優位に立ったところで虚しいだけです。

負けてはいけないのは「目」、つまり知識と見識眼ですね。

「見識は口論に勝る」ですね。

(秋田道夫著『機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方』から一部を抜粋・改変したものです)