「いつも他人と比べてしまう」「このままでいいのか、と焦る」「いつまでたっても自信が持てない…」。仕事や人生に悩んでしまった時、どう考えればいいのでしょうか。『機嫌のデザイン』の著者であり、数々の名言がTwitterで話題となった、プロダクトデザイナー・秋田道夫氏の「毎日を機嫌よく生きるためのヒント」を紹介します。
誰に対しても「さん」付けで話す
─「誰と会う時にも油断をしない」。その意味を教えてください。
出会う人すべての「背景」は計り知れないという意味です。
肩書きや所属といった分かりやすいラベルでもって、「この人は偉い」「この人はそうでもない」などと決めつけるのは非常にリスキーです。
「憧れられる職業に就いている人よりも、人がやりたがらない仕事をしている人の中に本当に偉い人が隠れている」と、昔から思っているのです。
どこに偉い人がいるかは分からない。だから、油断は禁物です。
─具体的にはどんな行動になりますか?
たとえば、わたしは誰に対しても「さん」付けで呼ぶと決めています。
上や下、内や外、そういう区別なく等しく「さん」付けです。
─つい、「どっちが上か」などと推し測ってしまいますね。
区分けによってなんとかして優位な自分を構築しようとしますよね。
でも、結局は自分の意が届かない人によって自分は評価されてしまうのですから、それも無駄なんです。
デザインも同じで、どんなに説明文を添えたとしても、それでどこまで意図が伝わるかの保証はないわけです。
語りで伝えるのには限界がある。だから、「語らないもの」が語る力を持たなければいけない。
デザインってつまりそういう力なんです。製品を語るものに変える力。人格を宿すような力です。
もう一つ、わたしがいつも心に留めていることがあります。
「口で勝たない。目で負けない」。
─どういう意味でしょうか。
デザイナーは理屈で論破してもしょうがない。それにいい負かされた相手はずっと根に持つでしょう。長い目で見て得策とは思えません。それで優位に立ったところで虚しいだけです。
負けてはいけないのは「目」、つまり知識と見識眼ですね。
「見識は口論に勝る」ですね。
(秋田道夫著『機嫌のデザイン まわりに左右されないシンプルな考え方』から一部を抜粋・改変したものです)
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いつも他人と比べてしまう。
このままでいいのか、と焦る。
いつまでたっても自信が持てない。
仕事や人生に悩んでしまった時、
どう考えればいいのでしょうか。
「何事につけ『期待するな』です。
世間にも家族にも友人にも
さらには自分にも。」
秋田道夫、69歳。
プロダクトデザイナー。
大手メーカーでオーディオ機器などの製品デザインを手がける。
その後、フリーランスとして独立。
誰もが街中でみかけるLED式薄型信号機や、
交通系ICカードのチャージ機、
虎ノ門ヒルズのセキュリティーゲートなどの公共機器をデザインする。
それだけではなく、コーヒーメーカー、1本用ワインセラー、
文房具、土鍋、ベビーソープ、カバンなど
幅広く日常生活にまつわる製品のデザインに関わる。
そして、2021年の3月からは
Twitterで「自分の思ったことや感じたこと」の発信をはじめます。
「デザインは一晩寝かした方が良い。
それより大事な事はデザイナーがちゃんと寝たほうが良い。」
「どんどん本を読んで色々なものを観てください。
そしてどんどん忘れてください。
それでも残っているのがあなたの知識です。」
これらのツイートが多くの人々の心を捉え、拡散されると、
わずか2日間で7万人以上が秋田氏をフォローしました。
現在のフォロワー数は10万人を超えています。
秋田氏の「シンプルで本質をとらえた言葉」に触れることで
日々抱いている悩みや焦り、気負いが消えていき
心がフッと軽くなると感じている人が、数多くいるのです。
そんな秋田氏が繰り返し語っているのは、
「機嫌よくいること」の大切さです。
どうすれば、自分の機嫌を自分でとることができるのか。
「別に前向きではありません。ただ機嫌がいいだけです。」
そう語る秋田氏に質問し、会話をするなかで、
「機嫌よく日々とつき合う」ためのヒントが
いくつも浮かび上がってきました。
本書では、秋田氏との会話文形式により
Twitterでは語られてこなかった
「まわりに左右されないシンプルな考え方」を紹介していきます。
【本書の目次】
プロローグ
はじめに
1章 機嫌をデザインする ―機嫌をよく保つには、まわりに期待をしない
2章 人間関係をデザインする ―誰に対しても素直に接する
3章 仕事をデザインする ―知識よりも人を知ることのほうが大切です
4章 感性をデザインする 自分にとって心地よいものを選ぶ
エピローグ
おわりに