米政府債務「上限」に
「経済が人質」のリスク
民主党のバイデン政権と、昨年秋の中間選挙で下院の多数派となった議会共和党の対立が新年早々、本格化している。
1月下旬に連邦政府の債務が上限に達したことで、バイデン大統領が議会に債務上限の引き上げを要請したのに対し、共和党は条件として歳出削減などを求めて揺さぶりをかけている。
2月7日の一般教書演説でバイデン大統領は、「(共和党が)経済を人質に取ろうとしている」と厳しく批判、条件闘争には応じない構えだが、共和党側も強硬だ。
最終的には歩み寄り、上限引き上げと限定的な歳出削減で合意するとみられているが、24年の大統領選をにらんだ駆け引きなどが予想され、財政資金が枯渇するぎりぎりまで決着がずれ込む可能性が高い。米国債が「偶発的なデフォルト」に至るリスクも捨てきれない。
債務上限引き上げを巡る綱引きは恒例となった感がなくもないが、問題は政治的な取引の材料にされるだけで、改革すべき連邦予算の歳入や歳出の本丸に手が付かないまま妥協が図られることだ。
今回もそうなる懸念は十分にある。