米半導体大手インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、同社が敏しょうな競合他社に取り残された名高い米テクノロジー企業の仲間入りをしないよう、迅速に行動する必要があることをよく分かっている。
ここ10年で、グラフィックチップメーカーのエヌビディアがインテルを抜いて米国で最も時価総額の高い半導体企業に躍進。ライバル各社は最先端チップの開発でインテルを追い越し、長年インテルの後塵を拝してきたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は市場シェアを奪っている。一方、インテルは、新型チップ導入の度重なる遅れや顧客候補の不満の声に直面している。
2021年にCEOに就任したゲルシンガー氏は「全てがうまくいっていたから、このような泥穴にはまったのではない」とし、「リーダーシップ、人材、手法などについて、てこ入れが必要な深刻な問題があった」と述べた。
同氏はインテルの問題の主因について、チップ製造方法のシフトに失敗したことにあるとみている。同社は回路を設計し、自社工場で製造することで名声を得た。しかし現在、チップメーカーは回路設計か製造のどちらかに特化する傾向があり、インテルは他社が設計したチップの製造でビジネスをあまり獲得できていない。