東京エレクトロン、アドバンテスト…半導体業界で“過去最高決算”続出も「景気の谷」の深さは?Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京エレクトロン、ルネサスエレクトロニクスなどの「半導体関連」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

半導体銘柄2社は2桁増収
東京エレクトロンは減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の半導体関連業界5社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(5社とも23年1〜3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・東京エレクトロン
 増収率:マイナス1.2%(四半期の売上高5583億円)
・ルネサスエレクトロニクス
 増収率:3.8%(四半期の売上収益3594億円)
・アドバンテスト
 増収率:26.2%(四半期の売上高1474億円)
・レーザーテック
 増収率:46.2%(四半期の売上高243億円)
・ディスコ
 増収率:7.5%(四半期の売上高790億円)

 4社が前年同期比で増収となった。中でもアドバンテストとレーザーテックは2桁増を記録している。一方、東京エレクトロンは、唯一の減収で、マイナス1.2%となった。

 コロナ禍以降、世界的な半導体不足の影響で半導体市場は好調が続いていたが、22年後半から、3~4年に一度は需要が大きく落ち込むという「シリコンサイクル」の谷間に入ったと見られている。

 ただ、年間を通してみると好調の企業も多く、通期の業績を見てみると、3社が過去最高益を突破している。

 次ページ以降では、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、過去最高の業績となった企業がどこなのか見ていく。

 一方で、23年3月期の通期決算が締まった企業が発表した24年3月期決算の業績予想からは、シリコンサイクルの谷の深さもうかがえる。その点にも触れていこう。