日本では見られない
韓国特有の推し活文化
「コーヒー車」のように、日本のアイドルファンの間ではなかなか見られない韓国特有の推し活文化も多く存在する。たいていの場合、日本語で端的に表現することは難しいという。
「例えば、推しにチャート1位を取ってもらおうとファンが協力を呼びかけ合い、音源サイトで推しの曲を繰り返し再生することを、韓国語で『スミン』といいます。推しをトップスターに押し上げたいというファンの強い意思が表れた、韓国特有の推し活用語といえるでしょう」(澤田氏)
韓国のアイドルは、新曲を発表してから約1カ月は、PRのために積極的に番組出演などを行う。しかし、次の新曲のための準備期間に入ると、ファンの前に姿を見せる機会が減ってしまう。そのため、ファンは新曲発表のことを「おかえり」という意味を込めて「カムバック」(略して「カムバ」)と呼ぶ。
「男性アーティストが兵役を終えて活動を再開することを『カムバック』と呼ぶケースもあります」(澤田氏)
「日本ではなじみのない表現なので、日常会話で『TWICEがカムバするね』とさらっと使っていたら、韓国エンタメ好きは反応しそうです」(かん氏)
多忙なスケジュールをこなす推しに対して、ファンがSNSや配信を通じて「ちゃんとご飯食べてる?」とコメントするのも、韓国ならではの愛情表現だ。
「韓国旅行に出かけると、現地の食堂で小さな総菜(パンチャン)が食べきれないほどたくさん出てきて、そのおもてなしの手厚さに驚くことがあります。食事を大切にする韓国人の価値観が推し活の世界にも表れていて、『ちゃんとご飯食べてる?』というフレーズにつながっているのではないか、と個人的には思います」(かん氏)
言葉を知ることで、言葉の背景にある文化への理解も深まる。ここはひとつ、「推し活韓国語」を通じて世界を広げてみるのはいかがだろうか。