日本銀行Photo:PIXTA

外された政策金利の
フォワードガイダンス

 4月27日・28日の金融政策決定会合において、日銀は形を変えながら5年近く掲げていた政策金利のフォワードガイダンスを当面の金融政策運営の発表文から外した。

 筆者のこれまでの理解では、このフォワードガイダンスはそもそも、あまり意味のないものであり、外しても今後の金融政策に大した影響はないと思っていた。それだけに、このフォワードガイダンスが、緩和方向を意識した政策運営を行う姿勢を示したものという日銀の説明を理解できなかった。

 なぜなら、「政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」という表現は、現在-0.1%の政策金利が現在の市場の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している、としか読めなかったからだ。言い換えれば日銀は、政策金利を起点に右肩上がりの順イールドカーブが適切に形成されていることを想定している、としか読めなかった。

 たしかに日銀がゼロ金利政策と強力な時間軸政策を金融緩和の基本に据えようとすると、政策金利を起点にしたかなりフラットなイールドカーブの形状を想定しなければならない。政策金利のフォワードガイダンスが残っていると、政策金利引き下げの思惑が出てきやすいので、あらかじめ政策金利のフォワードガイダンスを外しておくことが、ゼロ金利政策復帰への地ならしになりうる、くらいには思っていた。

 しかし、フォワードガイダンスの英語訳を読んで、緩和方向の金融政策運営を強く示唆しているという日銀の説明がようやく理解できた。