認知的不協和理論とは?モヤモヤ、イライラの原因そのものを解決するのではなく、モヤモヤ、イライラしている状態から脱しようと認知を変えてしまう。こうした心理の働きが、認知的不協和理論だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

自分の中に矛盾した意見や考えがあることに気付くと、モヤモヤしてしまうものです。また、「この人と話しているとなぜかイライラしてしまう」ということもよくあるもの。こうしたモヤモヤ、イライラがきっかけで、上の空になったり、心にもない言動をしたりして自分の印象を悪くするのは避けたいもの。書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、人はなぜこうした心理になるのか、そしてその心理を交渉事に生かす方法を紹介します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

「いい人なのに、話しているとイライラする」の謎

「この人、言っていることがコロコロ変わるなぁ」
「この人と話していると、なんかモヤモヤする……」
「話が長い人だな……イライラしてきた」

 相手はすごく良い人なのに、話しているうちになぜか苛立ちを感じてしまった経験はありませんか。逆に、自分はしっかりと丁寧に説明しているつもりが、なぜか相手をイラつかせてしまったり、話し終わる前に相手から「で、だからどうしたの?」と話をさえぎられたりしたことはありませんか?

 こうした会話のトラブルが起こる原因には、ある一つの心理的な作用が働いてしまっている可能性があります。それは「認知的不協和理論」です。この作用の影響によって、こちらがイライラしてしまったり、相手をイラつかせたり、話をさえぎられたりといったコミュニケーションの不協和が起こるのです。