「将来のお金が不安」「貯金や投資なんて余裕はない」「買い物を楽しめない」──​お金の悩みは尽きることがない。そんな中で「若い人ほど読んでほしい」「お金の知識を網羅的に学べる」と絶賛の声を集める本がある。『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』だ。誰でも今日からスタートできる「お金の増やし方」を提示し、世界で累計100万部突破した大ベストセラーだ。Amazon.comでは1万件以上の星5レビューが集まり、全米から世界中へと本書の実践者が増えている。本稿では本書から一部を特別に公開する。

「あなたは資産の何割を株で運用すべきか?」投資を始める前に必ず知っておくべき1つのルールPhoto: Adobe Stock

アセットアロケーションが運用の成果を決める

 もしあなたが様々な種類の株式や株式ファンドを購入しているなら、十分に分散投資していると言えるが、それはあくまで株式の中においての話だ。

 株式の中で分散投資することは大切だが、異なるアセットクラスの間で資産配分することはもっと大切だ。

 1種類の資産だけに投資するのは、長期的に見ると危険だ。

 ここでアセットアロケーションと呼ばれる重要な概念が登場する。

 分散とは1つのアセットクラスの中で異なる銘柄を保有することであり、アセットアロケーションとは異なるアセットクラスの間で資産配分を行うことだ。

 どの資産に投資するのかを決める際、最も重要なのはそれぞれの資産が提供するリターンだ。

 もちろん、アセットアロケーションの仕方によって期待リターンは変わってくる。

 一般的にはリスクが高くなると、潜在的なリターンも高くなる。

 次の表を見れば、株式のリターンが最も高いことがひと目でわかるだろう。

「あなたは資産の何割を株で運用すべきか?」投資を始める前に必ず知っておくべき1つのルール【株式と債券の90年間の平均リターン】ニューヨーク大学でコーポレート・ファイナンスを専門とするアスワス・ダモダラン教授は、過去90年間の投資リターンを研究した。S&P500の非常に長期にわたるリターンを明らかにしている研究成果だ。注意してほしいのは、過去は必ずしも未来を予測できるわけではない。また、これらは複利を考慮しない算術平均の数値であり(複利を考慮した株式の成長率は9.5%)、インフレについては考慮に入れていない。

全資産を株式で運用すべきではない理由

「それなら全資産を株式に投資すればいいのでは?」と思うかもしれないが、早とちりしてはいけない。

 リターンが高いということは、リスクも高いということだ。

 もし株式に全額投資して、ポートフォリオの価値が1年で35パーセント下がれば、突如、あなたは身動きが取れなくなる。

 アセットアロケーションは、あなたの人生において最も重要な決断の1つと言っても過言ではない。

 数十万ドル、あるいは数百万ドルもの価値を有する決断なのだ。

 アセットアロケーションの効果は絶大だ。

 例えば、多くの人が世界同時不況のあおりを受けて、ポートフォリオの価値が大きく毀損した50代や60代の人の話を聞いたことがあるはずだ。

 彼らのポートフォリオは、残念ながら適正なアロケーションがなされていなかった。

 全財産を株式に投資すべきではなかったし、下落相場が続いたときにすべての株式を売却すべきではなかったのだ。

年齢を重ねるごとに、リスクの低い資産運用を

 年齢とリスク許容度は大切な要素だ。

 もしあなたが25歳で、これからお金を増やす期間が何十年もあるのであれば、株式ファンドを中心としたポートフォリオを組んでもおそらく問題ない。

 ただ、もしあなたが高齢でリタイア間近であれば、ポートフォリオのリスクを軽減したいと思うのではないだろうか。60代以上であれば、ポートフォリオの大半を安全な債券に投資すべきだ。

 債券は一般的に株式とは真逆の動きをするため、ポートフォリオ全体のリスクを軽減する役割を果たす。

 バイオテクノロジーの銘柄が3倍に跳ね上がれば、債券に投資していた資金を株式に投資すべきだったと後悔するかもしれない。

 一方、もし株式市場が下落すれば、債券を保有しておいて良かったと胸を撫で下ろすだろう。

 直感では理解しにくいかもしれないが、ポートフォリオに債券を加えておくことで、ポートフォリオ全体のパフォーマンスは改善する。

 株式が軟調なときに債券が上昇するからだ。

 債券を買うことによるリターンへの影響は軽微だが、リスクは大幅に軽減される。

「でもラミット、僕はまだ若いし、積極的に投資したい。債券なんかいらないよ」とあなたは思うかもしれない。

 確かにその通りだ。債券は20代の若者のための投資先ではない。

 もしあなたが20代、もしくは30代前半で、リスクを軽減する必要がないのであれば、株式ファンドに投資しつつ、長期投資によってリスクを軽減することもできる。

 ただ、もし30代後半以上の年代に入っていれば、ポートフォリオに債券を加えることでリスクを軽減することを勧めたい。

「あなたは資産の何割を株で運用すべきか?」投資を始める前に必ず知っておくべき1つのルール【年代別のアセットアロケーション】一般的な投資家の年代別のアセットアロケーションは上のような比率になる。バンガードのターゲット・デート・ファンドを参考にした数値だ。

(本原稿は、『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』からの抜粋です)

ラミット・セティ Ramit Sethi

ウェブサイト「I Will Teach You To Be Rich」を運営し、お金やビジネス、心理学について幅広い読者に向けて情報を発信している。これまでにThe New York Times、Fortune、The Wall Street Journalなど多くの経済メディアで取り上げられてきた。スタンフォード大学でテクノロジーと心理学を学び、現在は妻とニューヨークに住んでいる。2023年4月より、Netflixでラミット・セティを特集した『ハウ・トゥー・ゲット・リッチ』が全世界に配信。