「自民・維新」連立政権が得策ではない理由、“自公対立”解消のカギは?選挙区調整めぐり自民党と公明党の対立が表面化する中、自民党と日本維新の会の連立との声も聞こえてくる。だが、それが得策でない理由と、自公対立解消のカギとは(写真は、公明党の山口那津男代表〈中央左〉から提言を受け取る岸田文雄首相) Photo:JIJI

「どうする家康」の徳川家と
似ている公明党の現状

「どうする家康」では、長篠の戦いで織田信長の鉄砲隊を使った革新的な作戦で大勝利した家康だが、武田勝頼もその領国も粘り強く、徳川家中にも武田の調略の手が伸びてくる様子が描かれている。

 これを現代に当てはめて見ていると、当時の徳川の立場は、織田軍団のように巨大な自民党と連立を組みながらも、選挙協力でギクシャクする公明党の立場のようでもあり、頼りになるはずの欧米の援助を受けつつも反転攻勢が順調には進まないウクライナのようでもある。

 そこで、今回は公明党と自民党の連立維持ができるかといった緊迫した攻防について論じ、来週はウクライナ情勢について、日本の安全にとってどんな教訓があるのかを論じたい。なお、ウクライナ問題を世界史のなかで考えるということは、近著『民族と国家の5000年史 ~文明の盛衰と戦略的思考がわかる~』で詳しく書いた。

 公明党は、小選挙区では、これまで大阪で4人、兵庫で2人を立て、ここでは自民と協力を得て、さらに日本維新の会(以下、維新)も候補を立てないという形で協力してきた。また、東京、広島、北海道でも自民党の協力で候補を立てていた。

 次回の総選挙では、広島、北海道に加え、衆院選挙区定数の「10増10減」で再編成が行われる愛知県や、埼玉で選挙協力が行われそうだ。だが、これまで1人だった東京で29区と28区から擁立したいという公明党に対し、自民党は都県連会長の萩生田政調会長の支援者でもある候補を28区で擁立することにこだわった。