岸田首相が解散に触れ続ける裏で、波乱呼ぶ「新区割り」の候補者調整衆院小選挙区の「10増10減」に基づく新区割りで、新たに生まれる東京29区の公明党の公認候補に決まった現12区選出の衆院議員、岡本三成。この決定に自民党内では波紋が広がった Photo:JIJI

「減るところも大変だが、増えるところはもっと大変だ」こう語るのは現職閣僚の一人。改正公職選挙法で決まった衆院小選挙区の「10増10減」に基づく候補者選びのことだ。新しい区割りでは全部で289小選挙区のほぼ半分に当たる140小選挙区が、新しい線引きによって境界線の変更が行われる。とりわけ多くの現職議員を抱える自民党の候補者調整は容易ではない。加えて自民党には連立与党の公明党との調整という難題が横たわる。

 早くもその自公間の選挙区調整で悶着が表面化した。1月25日の新聞朝刊にいきなり、東京29区と広島3区について新しい区割りに基づく公明党の公認候補の決定記事が載った。広島3区は国交相の斉藤鉄夫。そして自民党内に波紋を広げたのが、新たに生まれる東京29区に現12区選出の衆院議員、岡本三成を決定したことだ。

 岡本は前公明党代表の太田昭宏の後継者。太田は東京都北区を中心にした東京12区で当選を重ね、東京で唯一の公明党の議席を守ってきた。最初に太田が東京12区から出馬した背景には、元首相の小渕恵三による1999年の自公連立政権の樹立が密接に絡む。