中核事業の転職サービス「ビズリーチ」を軸に急成長を遂げ、2021年4月に株式上場も果たすなど有望株のビジョナル。第二の収益の柱と見込む「HRMOS(ハーモス)」や新規事業、M&Aを含む成長戦略の全貌とは?特集『円安・金利高・インフレで明暗くっきり! 株価・給料・再編 5年後の業界地図』(全24回)の#18では、「全ての職種や業種で雇用の流動化が進む」と、中途採用市場の先行きに強気の見通しを描く南壮一郎社長のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
転職が当たり前の世界は
今後5~10年も変わらない
――中核のビズリーチを中心とした中長期的な事業環境をどのように見通していますか。
先に5~10年前からどう変わったかを振り返ると、この国の働き方は大きく変わり、多様になりました。そして、労働寿命がこれまでより延びる未来が明確になったといえるのではないでしょうか。
つまり「人生100年時代」ともいわれる中、従来は「40年」働くと思っていたのが、「60年」が当たり前となるかもしれない。今後は、会社が働く個人を選んできた時代から、個人が会社を選ぶ時代になっていくと思っています。
コロナ禍は、そんな新しい働き方の未来への動きを加速させる存在だったといえるでしょう。
6月13日に今期(2022年7月期)業績の上方修正を発表しましたが、営業利益は前期から3.8倍となる見通しです。われわれとしては、ようやくスタートラインに立ったとの認識です。
日本で雇用の流動化が起こると信じてビズリーチ事業を展開してきましたが、ようやく転職が当たり前の世界になり始めた。この流れは今後5~10年を見据えても止まらないと考えます。
――国内事業の成長余力は心配には及ばないのでしょうか。
日本の正社員の転職率はまだ2.3%にすぎません(総務省・労働力調査より同社算出)。10年前と比べ、eコマースが当たり前の存在となった変化を考えてみても、まだまだこちら(転職率)が伸びる余地は大きいと思います。
――成長著しいIT企業各社からは、特にIT人材の争奪戦が激化しているとの声が聞かれます。雇用流動化も、こうした分野を中心に起こっているのでしょうか。
全方位です。全職種、全業種で今、流動化が起こっているんです。